副題にあるとおり、肺カルチノイドという難病でお亡くなりになった金子哲雄さんが自身の終末までの記録を書いた本です。
本書の目次
- プロローグ 突然の宣告
- 第1章 流通ジャーナリストと名乗って
- 第2章 昼も夜も時間が足りない
- 第3章 発病。あふれてしまう涙
- 第4章 最後の仕事は死の準備
- エピローグ 生涯無休
巻頭と巻末に奥様である金子稚子さんのメッセージが書かれています。
流通ジャーナリスト
金子さんを初めて見たのは、確かバラエティ番組でお得な買い物方法について解説をしている姿です。
独特な話し方と愛嬌のある風貌で、キャラの立っている方が登場したなと思って見ていました。
その後、人気が出てどんどんお茶の間への露出が増えましたが、肩書きはいつも流通ジャーナリストでした。
本書の前半では、金子さんが流通ジャーナリストとして名乗るまでの生い立ちになります。
頭角をあらわす方というのは、綿密な計画と強い意志でもって実行していることがよくわかるエピソードが色々でてきます。
仕事と治療と
後半は肺カルチノイドとの闘病記です。
時折金子さん自身の心情が吐露されるシーンもありますが、基本は売れっ子としての激務をこなしつつ闘病生活を送る毎日が淡々と書かれています。
事実を正確に伝えたいという金子さんの強い意思があるのではないかと思います。
文中にはたびたび金子さんの1日のスケジュールが登場していますが、下手なタレント顔負けの密度の濃さです。
本当に仕事が生きがいで、仕事をしているときが一番充実していたんだなとわかります。
また、仕事があることで気持ちに張りが出て結果的に自身の治療となり、病気の進行を遅らせることができていたように感じられます。
私の見ていた番組には頻繁に登場されていたので目にする機会は多かったのですが、その裏ではこんなに激しいエピソードがあったというのは本書を読んだことで知った事実です。
自分にも不測の事態が起きたときには、それと闘いながらここまでしっかりとした対応がとれるだろうかと読み終わって引き締まる思いがしました。
ご冥福をお祈りいたします。
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